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約束。 [*擬人化小説*]

今回は原型設定(本軸)の方でのお話。
ちょっと久しぶりに本軸、ここでは初めまして(*´-`)ノ < ヤァ。
弌吏・遥弐交互視点からの、弌吏と遥弐のお話。というか会話してるだけ。
ナチュラルに擬人化なので苦手な方は回避お願い致します。
原型(本軸)設定については、詳しくはカテゴリの「初めに」及び「原型設定」をご参照頂ければ幸いです。
 
 
 
 
 
 
 
  【 空と海の境目 】
 
 
ニャー。
「…空と海の境目へ行きたい。」

何処か行ってみたい場所はないのかと問われ、しばらく考えてからぽつり答えた。
ハルの動きが一瞬止まるのを、空気で感じる。

「あー…」
「昔、そんな場所があると聞いたのだが…」
「俺も聞いたことあんな。」

恐らく、同じ相手から聞いたのだろう。
あの人…ハルの、親父さんから。
しばらく悩むように唸り、ハルは口を開く。

「…んじゃあ、いつか行ってみるか。」
「いつか、か…」
「おぅ、いつか。遠いからなー。」
「…そうか。」
 
 
 
コ、コケー…?
"空と海の境目"。
俺はすぐにそれが「水平線」のことだと理解した。
親父が、まだ弌吏が家にいた頃に言っていたのを思い出す。

「俺も聞いたことあんな。」

昔は"空と海の境目"がどんなものか知らなかった。
親父が死んで、一人であちこちを巡るようになってからそれがどういうものかを知った。
初めて"空と海の境目"にでっかい太陽が沈んでいくのを見た時は感動したもんだ。
だが、目の見えない弌吏には………

「…んじゃあ、いつか行ってみるか。」
「いつか、か…」
「おぅ、いつか。遠いからなー。」

嘘だ。
遠いことは確かだが、行こうと思えばすぐにでも連れていってやれる。
"空と海の境目"…水平線の見える場所へは。
弌吏はどんな場所をイメージしてんだろうなぁ。
その場所へは行くことはできない(何故なら遠くから眺めるものだから)と知ったら、落ち込むだろうか。
 
 
 
ニャー。
"空と海の境目"へは行けないのだと、ハルの声音で察する。
だがハルは「いつか連れてってやる」と言ってくれた。
きっと、叶わぬと知ったら私が落ち込むとでも思ったのだろう。
…そういう優しさが、あの人を思い出させる。ハルの、親父さんを。

『なぁ弌吏?身体が動くようになったらな、いいとこ連れてってやるよ。すっげぇんだぞ~。』

…何がすごいのかは教えてはくれなかったが、当時の私は何も答えず無言でそんな話を聞いていたものだ。
あの人は色々な世界を見てきたのだろう。よく連れて行きたいと様々な所を口にしていた。
その中でも印象に残っていたのは、"空と海の境目"。
いったいどういうところなのだろうと興味はあった。
そもそも、私は海と云うものを知らない。

「…ハル、約束だぞ。」
「んぁー、おぅ。」

嘘、誤魔化しが下手なやつだ。
 
 
 
クルッポー? 
海の上に立つわけにもいかないし、無理だ。沈む。
それに、たとえ海の上を行けたとしても"空と海の境目"へ辿り着けることはないだろう。
何故なら、目にしていた地点に立った瞬間にそこは境目でもなんでもない、ただの海の上だからな。
 
(まずは、海に連れてってやるか。)
 
波の音を聴かせるだけでもいいかも知れねぇなと、妥協案を考える。
すぐに行けると言っても、ここから海は遠い。
恐らく弌吏は海と云うものを知らないだろう。
しかし、そこまで連れてって境目はどこだと聞かれたら…もっともっと遠くだとしか答えようがない。
ここがそうだと、嘘を言える自信もない。
 
「…ハル、約束だぞ。」
「んぁー、おぅ。」

"約束"。
まさかこいつの口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
あぁ、こりゃあ…破れねぇな。

「…んじゃあ、指切りでもすっか。」
「指切り?指など切ってどうする。」

………指切りすら知らない、こいつが口にした"約束"。
親父だったら軽々背負えたんだろうな。
俺には、ちと重いわ。

 
 
ニャ。
"約束"…など、記憶する限りでは初めて口にしたかも知れない。
自分でも驚いた。

「…んじゃあ、指切りでもすっか。」

指切りとは何だと問う私に、ハルの可笑しそうな笑い声が聞こえる。
あの人に喋り声は似ているが、笑い声は少し違うな。笑い方が違うのだろうか。

「…お前の笑い声は癪に障る。」
「うわ、ひでぇこと言うねぇお前は。」
「…フン。」

比べては、いけない。
きっとハルはあの人と比べられることを嫌うだろう。
まだあの人と過ごしていた頃には左目は見えていたが、容姿は本当にそっくりな親子だった。
今は…歳を重ねた分、より似てきているのだろうなと想像してしまう。

「どうした?」
「ん…」

急に黙り込んだ私にハルが問う。なんでもないと答える。
そう、なんでもない…

「そろそろ行くわ。まだ寄らなきゃならねぇとこがあるんでな。」
「ならば私の所になど寄らずさっさと行けばいいものを。」
「通り道だったからちっと休憩に寄っただけだっつの。」

これも嘘だな。
"泡沫の島"に属するこの場所が、通り道になるはずがない。
思わず苦笑を零して、「そうか」とだけ言う。
 
「じゃあな。」
「…あぁ。」
 
動く気配がする。足音が遠くなる。
しばらくして、気配がなくなった。足音も聞こえなくなった。
風に乗って仄かに煙草のにおい。

(…同じ、におい。)

まったく、どこまで似るのだこの親子は。
においが消えて、ようやく私も泡沫の住処へと姿を消した ――― …。
 
 
ニャー。 クァ?  ガォー? ニャー。
弌吏は遥弐のことをハルと呼ぶ。
遥弐の親父さんのことを心の中であの人と呼ぶ。
口にする時は親父さんと呼ぶ。遥弐が親父って呼んでるから。
本軸の弌吏は盲目。サブ軸では右目が視えないだけで左目は健在。
10年前に姿を暗まして、すぐに親父さんが倒れて(病気であることを隠していた)、
10年ぶりに遥弐と再会して、親父さんが亡くなったことを聞いて、今に至る。
 
遥弐は弌吏に少し嫉妬していた。
親父さんのことは尊敬していたし、まぁ喧嘩もする普通の親子。
当時、親父さんが大怪我を負った弌吏を拾ってきて、治療して、
一緒に暮らそうと言い出して(大怪我をして拾われる前から親父さんと弌吏は縁があった)、
心を開かない弌吏を構い倒す親父さんに息子として、少しばかりの嫉妬。
弌吏が姿を暗ましてすぐに親父さんが亡くなった時の遣る瀬無さは今でも忘れない。
だけど不思議と弌吏に対して恨めしいとか怒りはなく、再会できた時に生きている姿を見てほっとした。
むしろ、親父さんの病に気付けなかった自分に悔しさと怒りを抱えている。
 
弌吏は遥弐に親父さんの面影を見て、
遥弐は弌吏に親父さんができなかったことをしてやりたい。
そんな関係の二人です。 うん、よくわからない(←)

 ***

カンボの鳴き方ってどんなんだろう。DSのリヴ庭が迷子で涙目です。
しばらくFE覚醒に(現在進行形で)浮気して放置してたからかしら…
ところでIEでG-Livにログインすると高確率でフリーズするんですが私のPCが悪いのだろうか。
携帯でメモした文書が取り出せなくてかなり苛々させられた。
別のブラウザから取り出したので良かったけど、いったい何事でござろうか。
うむぅ…謎現象。
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