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雪の結晶から生まれた幼子。 [*擬人化小説*]

ちょこちょことメモ書きしている擬人化のお話を少しずつカタチにして、
表に出して行けたらいいなと思う、そんな今日この頃です。
今回は原型設定(本軸)の方の陸桜と白鴉のお話をひとつ。
 
彼らはナチュラルに♂同士なので苦手な方はバックプリーズ。
擬人化が苦手な方も。すみませぬ。
淡白な子たちなので濃い関係とかはないのでその点ではご安心を(?)
 
 
 
 
  ↓
 
  ↓
 
 
 
 
ワンクッション的な。
白陸。
 
 
 
【 天から降ってきた華 】
 
 
その小さな小さな命は、ある日突然俺の目の前にやってきた。
…やってきたと云うか、降ってきたと云うか。

「きゅ?」

小首を傾げて見上げてくる"それ"に、俺は目を丸くする。
だって、あり得ないでしょ。
突然、目の前にリヴリーの赤ちゃんが降ってきたなんてさ…!

「は…白鴉!白鴉白鴉白鴉ーっ!」
「…うるせぇな。」
「ねぇ…!これ…!」
「…!?」

"それ"をずいっと白鴉の目の前に差し出した。
案の定、白鴉も目を丸くして驚いている様子。
だけどすぐに冷静さを取り戻して、差し出す俺の手を下げさせた。

「…とりあえず、下ろしてやれ。」
「あ…」
「きゅ…きゅう。」

あまりの事態に俺も慌ててたんだよ。
苦しそうにしていることに、気付けなかったんだ。
"それ"をそっと地面に下ろしてやると、尻尾をふるふる、頭をふるふる。
改めて見ると、なんとも可愛らしい。
大きさは、だいたい俺の膝下あたりくらい。

「こいつは…ツノツキだな。」

どうやら、ツノツキウリューの赤ちゃんらしい。
俺たちとは違って、リヴリー本来の姿で言葉も話せないようだ。

「…で、どうしたんだこいつは。親は。」
「わ、わからないよ…白鴉の島に入ったあたりで空から降ってきたんだ。」
「降ってきた…?」
「うん、そう。」

白鴉の島は年中雪景色。
彼の気分で雪も降ったり止んだりだけど、この日はハラハラと粉雪が舞っていた。
その雪と一緒に、ツノツキも降ってきた。
いや、正しく見た光景は………

「光る雪の結晶が降ってきてさ、何だろうって眺めてたら足元に落ちて…それでその光の中からその子が現れたんだ。」
「…ふぅん。」
「ふぅん…って、何の驚きもないわけ?」

白鴉はいつだって素っ気なく、あまり関心を示してくれない。
ちょっと…うぅん、かなり不満。

「…ある程度のことなら驚かねぇよ。」
「むぅ…」


 ***


陸のやつが変な生物を連れて来やがった。
雪の結晶から現れたと云うが、俺がそれを感知できなかったことに不審を感じる。

(…何者だ、こいつは。)

見たところ、ただのツノツキの幼子。
"泡沫の島"は俺たちが住む島の総称で今は俺が全体の監視をしているが、
最も侵入者に敏感なこの"雪華の島"に現れたことから、幼子と言えども警戒は解けない。
何よりも………

「可愛い~。ねぇ見てよ白鴉、俺懐かれたみたい。」
「………。」

…陸の足にすり寄るこいつが気に入らねぇ。
気安く懐きやがって。

「きゅい、きゅきゅう♪」
「俺のこと、親だと思ってるのかな…?」
「…はぁ?」

ツノツキの幼子を今度はきつく締め上げないよう優しく抱き上げる陸の姿に、思わず呆れる。
何でこいつはこんなにも警戒心がないのかと。
…俺が気にし過ぎだと言われたらそれまでだが、"泡沫の島"と"橙夢のこと"を託されている身としては、
些細な島の変化は見逃せない。

「…どうすんだ、それ。」
「俺、この子育てる。」
「………はぁ?」

何だ、この短い間に何がどうなってそんな結論が出た。
陸の考えは俺の理解の範囲を越えている。

「ね、名前考えよ?」
「待てよ…俺は許可してねぇ。」
「何がいいかなー。」
「話 を 聞 け 。」
「うー…」

…そんな目で見るな。
子犬を拾ってきてすぐに戻して来いと言われた子供のような、目で。
 
 
 ***
 
 
白鴉がすぐに首を縦に振ってくれるとは思っていないよ。
でも、どうしてもこの子は俺のところに来るべくして来てくれたとしか思えなくて。
そういう直感ってやつ?あるじゃん、たまに。

「白鴉ぁ…」
「だーめーだ。」
「白鴉のケチ!鬼!」
「はぁ?」
「う…」

白鴉は目付きが鋭い。というか怖い。そんな眼で睨まれたら、何も言えなくなる。
でも、腕の中できゅうきゅう鳴いてるこの子のためにも、俺は負けない!

「こ…この子は俺の島に連れて帰るから!」
「おい…」
「白鴉のばかばかばか!」
「おい!」

情けなくも半べそになりながら、俺はこの子と島に戻ろうと白鴉に背を向けて早足で歩き出した。
すぐに追う足音が聞こえてくる。
それから逃げるように足を早めるけど、すぐに追いつかれて肩を掴まれぐいっと引き戻された。

「…っ、何、泣いてんだよ。」
「…泣いてないよ。」
「目にいっぱい涙溜めといて強がってんじゃねぇ。」
「だって…」

白鴉が、子供が苦手なのは知ってる。苦手と云うか、多分嫌いなんだ。
それはきっと、リヴリー本来の姿であるこのツノツキの幼子も例外ではないと思う。
元々他者を寄せ付けない彼だから、俺も最初は邪険にされてた。
だから…なるべくなら彼に避けられるような行動はしたくない。
…でも、どうしてだろう。
この子は俺が守らなきゃ!っていう思いの方が、今は強い。

「…どうしても引き下がねぇのか、陸。」
「………うん。」

小さな、絞り出すような声で肯定の返事をして、頷く。
頷いて顔は上げないまま、頭上から白鴉の深い溜息が降ってきた。

「天華だ。」
「…………ん?」
「天の華と書いて、天華(てんか)だ。」
「てん、か?」

一瞬、何のことかわからなかった。
パッと顔を上げると、"天華"とだけ告げた白鴉は踵を返し元の場所まで戻ろうとしていた。
そして背中を向けたまま、一言…

「俺は一切面倒見ねぇぞ。」
「え…って、え?白鴉…?」

それって、良いってこと?
許してくれたの?
って、そこまで言葉としては発せなかった。
ツノツキの幼子の両脇を支えて、高い高いをするように持ち上げる。

「天華…」
「うきゅ?」
「天華!」
「きゅきゅー!」
「天華~!」

そうして、ぎゅー!って胸の中で抱きしめた。
なんだろう、この、表現しきれない嬉しさ!
白鴉はとっくに元の場所に戻って、何かの作業を続けていた。
きっと、背後の方で俺の騒がしい声を聞きながらまた溜息でも吐いてるんだろうな。


天から降ってきた華。
これが、俺たちの子との出逢い。


 【 END 】
 
 
  ***
 
ツノツキの子は去年お迎えして、
もうすぐ一年経つしそろそろちゃんとしたカタチにしてあげないとな~と思い今に至る。
一応、白鴉と陸桜の子として存在しています。
パパはプリトビ、ママはムシチョウ、そして子はツノツキ。笑
でもなんとなく似てません? に、似て、ない、かな (おどおど)
天華はサブ軸の方には登場しません。
サブ軸はファンタジックな要素は多少ありますが、
一応現実に近い世界なので白鴉と陸桜の子として登場させるには無理があった…
本軸の世界は異次元空間的な感じで時間軸がのんびりというか、不死ではないがほぼ不老の世界です。
泡沫の島の住人になってから時間軸が遅くなる(もしくは止まる)ので、
陸桜はこの世界に飛んできた17歳の姿のまま、白鴉も20歳の姿のまま、
でも、望めば年を重ねることも可能。そんな世界です。
数年後とか何十年後とかも、老化を望まない限りは今の姿のまま存在しているはず。
弌吏は泡沫の住人になってしまったので年をとらないけど、遥弐はこの先も老いていく。
泡沫の島についても、詳しい設定とか纏められたらいいなぁとか思ってます。

この子たちはこれからどうなるか、まだまだ発展途上の親子なので、
もしかしたら天華も擬人化するかも知れないしこのままかも知れない。
きゅきゅって鳴き声だけじゃなくて簡単な単語程度は喋れるようになるかも知れない。
自分の中では現在一番動かすのが楽しい子たちになってます。笑
白鴉は子供が嫌いなヒトなので、天華もそれを感じてあまり近付かないけど、
陸桜の好きなヒトだから気になってじーっと眺めてたり。
白鴉も特に追い払うこともせず、というかどう扱っていいのかと放っている感じ。
陸桜は天華と仲良し、天華も陸桜のことが大好き。
白鴉は陸桜にべったりの天華にたまにヤキモチを妬くこともあるけど、
不機嫌な空気を感じて陸桜がその後をきちんとフォローしてたり。
白鴉と天華の距離が近付けばいいな~っていうのが今の親子の課題。笑
 
最後に、陸桜と天華。
仲良し親子。

そんなこんなで、少ーしずつ動かしていきたいと思います。
ではでは、今回はこれにて [箱]・)ノシ
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